コンプレッサーとは?DTM初心者向けに仕組み・5つのパラメーター・使い方をやさしく解説
DTMでミックスを始めると必ず出てくるエフェクトが「コンプレッサー(コンプ)」です。
「なんとなく挿しているけど効果がよくわからない」「パラメーターが多くてどう設定すればいいの?」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、コンプレッサーの仕組みから5つの基本パラメーターの意味、ボーカルやドラムなど楽器別の設定の目安、サイドチェインやパラレルコンプといった応用テクニックまで、初心者の方にもわかりやすく解説します!
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コンプレッサーとは?音量のばらつきを整えるエフェクト
コンプレッサー(Compressor)とは、音の大きい部分と小さい部分の差(ダイナミクス)を小さくして、音量を均一に整えるエフェクトです。DTMやレコーディングの現場では「コンプ」と略して呼ばれることがほとんどです。
たとえばボーカルは、サビで声を張ると急に大きくなり、Aメロのささやくような部分では小さくなります。このまま再生すると、大きな部分はうるさく、小さな部分は伴奏に埋もれて聴き取りにくくなってしまいます。コンプレッサーを使うと、大きすぎる部分だけを自動で抑えてくれるので、曲全体を通して聴きやすい音量に整えられます。
コンプレッサーの仕組み
コンプレッサーの動作はとてもシンプルです。
この結果、大きい音は抑えられ、小さい音は相対的に持ち上がるため、音量のばらつきが少ない、まとまりのあるサウンドになります。
コンプレッサーを使う3つの目的
コンプレッサーは主に次の3つの目的で使われます。
コンプレッサーの5つの基本パラメーター
コンプレッサーにはさまざまな製品やプラグインがありますが、基本となるパラメーターはほぼ共通です。まずはこの5つを押さえておけば、どのコンプでも使いこなせるようになります。
1.スレッショルド(Threshold)
スレッショルドは「どの音量からコンプレッサーを効かせ始めるか」を決める基準値で、単位はdB(デシベル)です。スレッショルドを下げるほど小さな音にも反応するようになり、コンプが強くかかります。
逆にスレッショルドを高くすると、ピークのような特に大きな音にだけ反応するようになります。まずはスレッショルドを少しずつ下げていき、大きな部分にだけ反応する位置を探すのが基本です。
2.レシオ(Ratio)
レシオは「スレッショルドを超えた音をどれくらいの比率で圧縮するか」を表します。たとえばレシオ4:1の場合、スレッショルドを4dB超えた音は1dBだけ超えた音量に圧縮されます。
3.アタック(Attack)
アタックは「音がスレッショルドを超えてから、どれくらいの時間で圧縮を効かせるか」を決めるパラメーターで、単位はms(ミリ秒)です。
アタックを速くすると音の立ち上がり(トランジェント)からすぐに圧縮されるため、ピークがしっかり抑えられますが、音のアタック感や勢いは弱くなります。
アタックを遅くすると立ち上がりの部分が圧縮されずに通り抜けるため、キックやスネアの「パンッ」というアタック感が強調され、パンチのある音になります。
4.リリース(Release)
リリースは「音がスレッショルドを下回ってから、どれくらいの時間で圧縮を解除するか」を決めるパラメーターです。
リリースが短すぎると圧縮と解除が細かく繰り返され、音が揺れたり歪んだりする原因になります。反対に長すぎると次の音が来ても圧縮がかかったままになり、全体が常に押しつぶされたような音になってしまいます。曲のテンポや音の余韻に合わせて、自然に聴こえる長さを探しましょう。迷ったら「Auto(オート)」機能があるコンプではそれを使うのも手です。
5.メイクアップゲイン(Makeup Gain)
コンプレッサーで大きい音を抑えると、全体の音量も下がります。メイクアップゲインは、その下がった分を持ち上げて音量を補正するためのパラメーターです。プラグインによっては「Gain」「Output」と表記されていることもあります。
知っておきたい:ニーとゲインリダクション
ニー(Knee)は、スレッショルド付近での圧縮のかかり始め方を決めるパラメーターです。「ハードニー」はスレッショルドを超えた瞬間から設定どおりのレシオで圧縮し、「ソフトニー」はスレッショルドの手前から徐々に圧縮を強めていくため、より自然なかかり方になります。
ゲインリダクション(GR)は、今どれくらい音量が圧縮されているかを示すメーターです。コンプがかかっているか判断するときは、耳だけでなくこのメーターも確認しましょう。ボーカルなら、まずは3〜6dB程度のゲインリダクションを目安にすると自然に仕上がりやすいです。
コンプレッサーの種類と音の特徴
コンプレッサーは、もともとハードウェアの回路方式によっていくつかの種類に分かれており、それぞれかかり方や音のキャラクターが異なります。現在のプラグインの多くも、これらの名機をモデリングしています。
初心者のうちは種類にこだわりすぎず、まずはDAWに付属している標準のコンプで基本操作を覚えるのがおすすめです。慣れてきたら、用途に合わせてキャラクターの違うコンプを使い分けてみましょう。
【楽器別】コンプレッサーの設定の目安
ここでは、よく使われる楽器ごとのコンプレッサー設定の目安をご紹介します。あくまでスタート地点として、実際には素材や曲調に合わせて耳で聴きながら調整してください。
ボーカルは「歌詞がはっきり聴き取れて、サビで飛び出しすぎない」状態、ドラムは「アタック感を残しつつ余韻をコントロールする」状態、ミックスバスは「ゲインリダクション1〜2dB程度で全体を軽くまとめる」状態を目指すのがポイントです。
覚えておきたいコンプの応用テクニック
サイドチェイン・コンプレッション
サイドチェインは、別のトラックの音をきっかけにしてコンプレッサーを動かすテクニックです。代表的なのが、キックが鳴った瞬間だけベースやシンセの音量を下げる使い方。キックとベースの低音がぶつからなくなり、低域がすっきりします。
さらに強めにかけると、音量が「ズン、ズン」とうねるように揺れる効果が生まれ、EDMやハウスでおなじみのグルーヴ感を演出できます。
パラレル・コンプレッション
パラレルコンプは、強くコンプをかけた音と、コンプをかけていない元の音を混ぜるテクニックです。「ニューヨーク・コンプレッション」とも呼ばれ、特にドラムでよく使われます。元の音の自然なアタック感を残したまま、迫力や密度だけを足せるのがメリットです。最近は「Mix」や「Dry/Wet」つまみで手軽にパラレルコンプができるプラグインも増えています。
マルチバンド・コンプレッサー
マルチバンドコンプは、低音・中音・高音など周波数帯域ごとに分けて別々にコンプをかけられるコンプレッサーです。「低音だけが暴れている」「ボーカルの歯擦音(サ行)だけが耳に痛い」といった、特定の帯域の問題をピンポイントで解決できます。主にマスタリングや、仕上げの段階で使われることが多いエフェクトです。周波数帯域の考え方は「イコライザー(EQ)とは?理解ガイド」もあわせて読むと理解が深まります。
初心者がやりがちな失敗と対策
無料で使えるコンプレッサー
コンプレッサーを試すのに、高価なプラグインを買う必要はありません。まずは手持ちのDAWに付属しているコンプを使ってみましょう。
DAWに付属しているコンプレッサー
Ableton Liveには「Compressor」や、ミックスバス向けの「Glue Compressor」が付属しています。Logic Proの「Compressor」は、VCA・FET・オプトなど複数の回路タイプを切り替えられるため、本記事で紹介した種類ごとの違いを聴き比べる練習にもぴったりです。そのほか、ほとんどのDAWに標準のコンプレッサーが搭載されています。
これからDAWを選ぶ方は「完全無料で始める音楽制作:おすすめフリーDAWを徹底比較」や「Ableton liveが無料で使える?!無料版のダウンロードについて」も参考にしてください。
無料のコンプレッサープラグイン
付属コンプに慣れてきたら、無料で配布されている評価の高いプラグインを試してみるのもおすすめです。たとえば、Tokyo Dawn Labsの「TDR Kotelnikov」はミックスバスやマスタリングにも使える高品位なコンプで、無料版が公開されています。また、Klanghelmの「DC1A」はパラメーターが少なくシンプルな操作で使えるため、初心者でも扱いやすいコンプです。
※配布状況や対応環境は変わることがあるため、ダウンロードの際は各開発元の公式サイトをご確認ください。
記事まとめ
今回は、コンプレッサーの仕組みと基本パラメーター、楽器別の設定の目安から応用テクニックまでをご紹介しました。
コンプは「スレッショルドで基準を決め、レシオで圧縮の強さを決め、アタックとリリースでかかり方を調整し、メイクアップゲインで音量を戻す」という流れを覚えれば、どんなコンプでも使えるようになります。
最初は控えめな設定から始めて、バイパスで聴き比べながら少しずつ耳を慣らしていきましょう。EQやフィルターについては「DAW:フィルターとは?マスターしてプロ並みの音作りを実現」の記事もあわせてチェックしてみてください!
